プライベートカンパニーを活用した節税対策① 所得税の節税対策


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  • プライベートカンパニーを活用した節税対策① 所得税の節税対策 2018-06-04



    皆さんこんにちわ。
    京成不動産の渡辺です。

    収益物件を所有されている方が節税対策を考えたときに、「プライベートカンパニーを活用する」という方法は、一定の効果が期待できます。
    しかし一口にプライベートカンパニーの活用と言っても、実際にどの様な仕組みなのか、どの程度の効果が見込めるかは中々わかりにくいものです。

    今回から数回にわたって、プライベートカンパニーを活用した節税対策の仕組みをご紹介します。


    1、所得税→法人税で節税対策

    収益物件を個人名義で保有する場合と、法人名義で保有する場合に、その収益にかかる税金の種類が変わります。
    現在所得税率は累進課税強化の方針から、最高税率は55%に引き上げられています(住民税込み)。
    法人の場合、所得には法人税が課されます。
    法人税は国際競争力の観点から引き下げ方針がとられており、現在の税率は約30%(地方税込み)。
    一定以上の収益が発生する資産を保有している方は、資産を法人に移すだけで節税効果が見込めます。


    2、経費として認められる範囲が拡大

    また、収益物件を法人で所有した場合、経費として認められる範囲が個人に比べて拡大します。
    個人で所有している場合、家事経費との区別という点が問題になります。
    直接不動産管理に使用する部分のみが経費として認められるため、通信費や車両費は、不動産管理に使用した分として合理的な按分比率の部分のみが認められます。

    一方、法人で所有している場合、経費として認められる範囲が広がり、間接的な経費まで認められる傾向があります。
    また、役員報酬も経費として認められます。

    そのほかにも、法人の場合は欠損金を9年間繰り越す事ができるなど、様々なメリットがあります。


    3、プライベートカンパニーを設立する目安

    プライベートカンパニーは設立時に発生する費用と、運営維持に必要な費用があります。
    法人の場合決算報告が複雑なため、税理士報酬の支払いは避けがたい支出です。
    それらの費用と、プライベートカンパニーを設立することによるメリットを比較し、メリットが上回れば、プライベートカンパニーを設立したほうが良い、という事になります。

    一般的には、課税所得が1,000万円を超えている場合、プライベートカンパニーのメリットが受けられるであろうといわれています。
    最初の説明にあった所得税の累進性がその理由のひとつです。



    4、プライベートカンパニーを活用する際の注意点

    法人の設立・維持に一定の費用がかかる点は先ほどご説明した通りですが、時間的なコストも必要になります。
    また、個人の場合は赤字の場合所得税の課税はありませんが、法人の場合法人住民税の均等割分は毎年支払わないといけません。

    また次回ご紹介する相続税の節税対策の観点からは、法人が取得した土地や建物の価格は、3年間は時価(通常の取引価格・マーケット価格)で評価される点にも注意が必要です。

    次回はプライベートカンパニーを活用した相続税の節税対策をご紹介します。
     


    ページ作成日 2018-06-04