自筆証書遺言の作成が簡単に?相続法改正の影響は


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  • 自筆証書遺言の作成が簡単に?相続法改正の影響は 2018-10-15


    日本における遺言の作成件数は諸外国に比べて極めて少数です。
    その原因としては、遺留分をはじめとした効力の不確かさと、作成手続きの煩雑さが挙げられます。

    遺言には自筆証書遺言と公正証書遺言の二種類があります。
    自筆証書遺言はその名の通り、ご自身の手で書かれる事で効力を発揮する遺言。
    公証役場まで赴いて、費用を払って作成してもらう公正証書遺言に比べると、幾分作成のハードルは下がりそうです。

    しかしながら、この自筆証書遺言には厳格な形式があります。
    例えば、相続財産の目録は全て自分の手書きで記載しなければいけません。
    パソコンでの作成や代筆は不可です。
    また、内容を修正したいときにも厳格な手続きに沿う必要があります。
    少しでもこの形式を外れる様な書き方をしてしまうと無効になってしまう恐れがあります。
    これでは遺言が普及しないのもうなずけますね。

    少子高齢化の進行により、今後日本での相続トラブルの増加は目に見えています。
    国としてもトラブルを少しでも減少させるべく、相続法の改正に伴い自筆証書遺言の見直しが行われました。

    主な改正点は、下記の二点。

    ①自筆証書遺言の法務局での保管制度が新設
    ②財産目録が手書きではなくても認められる様に変更


    ①の保管制度については、自筆証書遺言の紛失、書き換えなどのリスクを軽減させる事が狙いです。
    これまでは公正証書遺言の優位性として、公証役場での保管がされるという点がありましたが、今後は自筆証書遺言でも公的機関での保管を受けられます。
    ただし、公正証書遺言とは異なり、法務局では持ち込まれた遺言を預かるだけ。
    本人の意思確認等は特にされません。

    そして法務局で保管された遺言は、検認が不要になります。
    検認とは、家庭裁判所が遺言書の内容を調査すること。
    この手続きを経て初めて不動産の登記移転等が実行可能になるのですが、家庭裁判所に検認の申立→検認の実施までにタイムラグがあり、賃貸不動産などの場合オーナーが未確定の状態が一定期間続いてしまうことになります。
    また自宅にあった遺言書をこの検認がされる前に勝手に開封してしまうと、相続人といえども罰金の対象になります。
    これらのトラブルを防ぐために、法務局による保管に伴う検認の不要化は一定効力があると思われます。

    さて②は自筆証書遺言の一部を手書きによらずに有効にできるというもの。
    財産目録の作成の煩雑さは遺言の普及を阻害する大きな要因の一つでした。
    この財産目録の部分が、
    a)パソコン・ワープロでの作成可
    b)代筆可
    c)不動産であれば謄本の写し、預金口座であれば通帳の写しの添付で可

    といったように、大幅に緩和されます。
    ただし、それぞれのページに署名、捺印が必要です。
    これにより、全てのページが本人の意思により作成され、追加されたページは無いことの証明になります。
    割り印は不要です。
    これらの変更は、来年の1月13日から施工されます。

    これらの要件緩和により遺言の作成割合は増えるかも知れません。
    ただし、緩和による詐欺等の事件も発生するのではないかと思います。
    例えば財産目録については自署のサインのみが証明となりますが、白紙に署名・捺印だけさせる様な手口を詐欺師ならすぐに思いつきそうなものです。
    要件の緩和は遺言作成を促進する上で大変意味のある事です。
    しかし自身の遺言が悪用・改ざんされないよう、自己防衛をする事も同時に考えなければいけないでしょう。


    ページ作成日 2018-10-15