認知症になっても贈与はできる?対策方法あれこれ


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  • 認知症になっても贈与はできる?対策方法あれこれ 2018-06-25

    認知症発症後の財産管理方法として広く知られる成年後見制度。

    しかしながら、認知症になった後も節税対策のため暦年贈与を継続したいという想いは、成年後見制度では実現する事が難しいのです。
    成年後見制度は、認知症になってしまった本人の財産を保守、管理するための制度。
    節税対策のための贈与は、相続人である受贈者のために本人の財産を減らす行為なので、認められない可能性が非常に高いのです。

    それでは、認知症後にも暦年贈与を継続するためには、どのような対策が取れるのでしょうか。
    本日は、贈与に関する認知症対策をご紹介します。


    1、生命保険を活用した対策

    生命保険と暦年贈与を使った節税&納税対策については、以前下記コラムでご紹介させていただきました。
    知っていますか?生命保険と相続対策の深い関係①~納税対策と節税対策を生命保険で~

    しかし上記の対策も暦年贈与が継続できることが大前提。
    そもそも被相続人の意思判断能力が落ちていて、暦年贈与の継続ができなくなる危険性がある場合は・・・?

    そんな場合にも、生命保険を活用して贈与を継続することが可能になるかもしれません。

    この際に選択するのは、解約返戻金のある、保険金が一時払いのタイプの保険。
    まず財産の所有者が、トータルで贈与をしたいと考えていた3,000万円を掛け金として、この保険に加入します。
    この際、被保険者は自分、保険金の受取人も自分です。

    その後、保険金の受取人を、贈与をしようとしていた方に変更します。
    そして、毎年110万円以内の範囲で解約をしていきます。

    贈与が成立するには、贈与をしたという意思と、贈与をされたという意思が必要です。
    そのため、贈与をする人が認知症になり意思判断能力が失われてしまった場合、贈与が成立しなくなってしまいます。
    しかし上記の方法を取ることで、受取人は110万円ずつの贈与を、単独で受けることが出来るようになります。

    注意点としては、贈与をしたい人の年齢が高い場合、加入できる保険が限られてしまうことが挙げられます。
    また、贈与税の申告など、抑えるべきポイントを抑えなければせっかくの対策も無効になってしまう事がありえます。
    本スキームの導入をしたい場合には、保険の専門家へのご相談の上で実施していただければと思います。



    2、家族信託を用いた対策

    そしてもう一つ、家族信託を用いた対策です。

    予めご理解いただきたいのですが、家族信託を用いた暦年贈与継続対策については、その有効性について専門家の中でも意見が分かれます。
    特段の理由がなければ、上記の保険を活用した対策をお勧めします。


    新しい認知症対策として注目される家族信託。
    財産の所有者(委託者)が、家族(受託者)にその財産の処分権限を託し、所有者が認知症になった後も、管理・処分が可能な状態にするというもの。
    制度の詳細は下記ページをご覧下さい。
    新しい相続のカタチ『家族信託』を学ぶ

    信託契約により金融資産を信託財産とし、その管理を受託者に任せれば、本人が認知症になってしまったあとも贈与を継続できるように思われます。

    ただし、その際に注意すべき点があります。
    それは、信託契約の目的と、受益者代理人の設定です。

    もし委託者が認知症を発症した後に、受託者が直接受贈者に送金をした場合、受益者の財産を毀損させ、受託者義務に違反したと捉えられかねません。
    もし信託により贈与を継続しようと考えている場合は、契約書にその旨を目的として信託契約書へ明記する必要があるでしょう。

    そして、受益者代理人の設定も必要になると思われます。
    贈与が成立するためには、贈与をしたという意思と、贈与を受けたという意思がどちらも欠かせません。
    委託者(贈与者)が認知症になってしまった場合、契約の目的に沿っているとはいえ、贈与の成立に疑義が生じてしまう可能性があります。
    そこで登場するのが受益者代理人です。
    受益者代理人とは、その名のとおり受益者の代理として意思表示をする人の事です。
    しかしこの受益者代理人に贈与への同意権限まで与えてしまうと、結果的に委託者の財産を減らしてしまう可能性も出てきてしまいます。

    冒頭でも記載しましたが、本スキームが問題無く成立するのか懐疑的な専門家も存在し、意見が分かれるスキームです。
    可能な限り、上記生命保険を活用した方法を選択していただく事が望ましいでしょう。
     


    ページ作成日 2018-06-25