先日、相続税の還付申請についてこんな事例を聞きました。
(還付申請とは、相続税の払いすぎた分を返済してもらうことです)
ご相談者様の父親は、自身が所有する土地の上に幼稚園を建てて、運営していました。
父親が無くなり、ご相談者様はその幼稚園の経営を引き継ぎました。
かねてから付き合いのある税理士に相続税の申告をお願いしたところ、幼稚園の土地に対して通常の土地と同じ様に評価をつけて申告をしていたそうです。
しかし相続財産としての幼稚園の土地は、一定の要件を満たせば非課税となります。
今回のケースでは要件を満たしていたため、評価額が一気に0となり、相続税の還付を受けることができました。
相続税は、こういった特例を知っているか知らないかで計算が大きく変わってくる恐ろしい税金です。
今回はぎりぎり還付の期限内であり、難を逃れる事ができました。
なお、幼稚園が非課税とみなされる要件とは、大まかに言うと下記の2点です。
①相続後も幼稚園の運営が承継される(引続き確実の要件)
②幼稚園として適正な事業が行われている(事業適正要件)
実務上はより細かな判定基準がありますが、幼稚園が実態として引き続き運営がされるという点が重要です。
幼稚園の運営は公共性のある事業であるため、国としても引き続き運営がされる用に手当てをしたいというわけです。
また、こんな土地も非課税になります。
皆様は、「庭内神し(ていないしんし)」というものをご存知でしょうか。
「庭内神し」とは、屋敷内にある神社や祠等といったものをいい、ご神体とはお地蔵さんやお稲荷さんなどが対象となります。
従来はその土地部分までは非課税にならなかったのですが、2012年から、一定の要件を満たせば土地部分も非課税とされるようになりました。
地域の方に一般的に公開されていなくても、ご自身の一族のみが現に日常礼拝していれば適用を受けられます。
どの範囲までが「敷地」といえるのかについては、個別に判断が必要になる部分でしょう。
税務署からの否認を恐れず、しっかりと話をしてくれる税理士を見つけるできれば、心強い味方になってくれることでしょう。
非課税対象の財産は改正によって変わったり、追加されたりと、きちんとチェックをしていないとプロでも見落としてしまうこともあります。
とくに相続税については得意としている税理士は少なく、専門家だからといって丸投げしてしまうと思わぬ損をすることもあります。
自己防衛のためにも、自分の所有する財産が該当しそうな非課税財産の項目があれば、是非頭の片隅に入れておいてください。
ページ作成日 2018-09-02