ご近所付き合いも相続対策?「境界」は不動産の換金性に大きく影響するファクター


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  • ご近所付き合いも相続対策?「境界」は不動産の換金性に大きく影響するファクター 2018-09-30



    突然ですが、皆様はお隣さんとの関係は良好ですか?

    なぜこのような事を聞くかというと、お隣さんとの関係が相続に大きく影響するケースがあるからです。
    お隣さんとの関係が、一体なぜ相続に影響するというのでしょうか?


    1、不動産の換金性を考える

    相続税の納税対策を考える時に、不動産の「換金性(スムーズに売れるかどうか)」は大事な要素です。
    相続発生後に実家を売却し納税資金に充てる計画も、肝心の不動産が売却できなければ実現できず、何らかの方法で相続人が納税資金を工面する必要が出てしまったり、延納の手続きや費用が必要になってしまいます。

    そして土地を売却する際に問題となるものとして、「境界の確定」があります。
    土地を売却する際には、「どこからどこまでが売り物なのか」を確定する必要があります。それがわからなければ、買主も安心して購入の検討ができませんよね。
    そのため、土地を売却する際には「確定測量(場合によっては現況測量)」を実施します。

    確定測量は主に土地家屋調査士や測量士に依頼をし、以下の手順で実施されます。

    1 資料収集、事前調査

    2 隣地所有者へ挨拶周り、協力依頼

    3 測量

    4 隣地所有者の立会い


    実はこの「4、隣地所有者の立会い」でトラブルが発生するケースが多いのです。



    2、隣地所有者とのトラブルで納税不能?

    これは実際にあったケースです。
    相続した土地を売却し、納税資金に充てようとしていたAさん。
    不動産仲介業者に売却を依頼し、無事買主が見つかりました。
    あとは確定測量を行い、境界を確定するだけです。

    しかしここで問題が起こりました。
    実家の隣地所有者と被相続人であるAさんの父は、以前隣地所有者の方と境界についてトラブルを起こしており、今回の立会いにも協力しないと言っているのです。

    境界が未確定なままではせっかく発掘した買主にも売却できず、仮に購入してくれる買主が見つかったとしても足元を見られて買い叩かれてしまいます。

    土地家屋調査士も交渉をしてくれていますが、頑なに立会いを拒まれ、これ以上は弁護士に依頼するしかありません。
    結局Aさんは別の方法で納税資金を工面し、相続した実家については完全に空き家状態で放置されています。

    このように、隣地所有者とのトラブルを抱えた不動産は「換金性が低い」といわざるを得ず、相続においては不良資産となってしまいます。
    相続財産になりそうな不動産についてトラブルがあったり、隣地所有者の方との関係があまり良くない場合は、その関係改善をすることも立派な相続対策と言えます。


    3、まとめ…お隣さんとのトラブルは生前に解決しておくべき

    相続対策というと、節税対策など様々なテクニックを使った対策ばかりというイメージがありますが、最大の目的は「財産の承継者が困らないようにする事」
    そのための行動は全て相続対策と言えます。
    お隣さんとの関係改善の着手は早ければ早いほど有効です。
    あなたの不動産はスムーズに売却できるようになっていますか?今一度確認をしておきましょう。


    ページ作成日 2018-09-30