相続税には申告期限があるけど、相続登記に申請期限はあるの?


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  • 相続税には申告期限があるけど、相続登記に申請期限はあるの? 2019-02-18

          
     相続税の申告には期限があることをご存知でしょうか?
    相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。もし、申告期限が土日祝日にあたる場合はその翌日までとなります。
    期限内に相続税の申告だけでなく納税も済ませておかないと、延滞税と加算税を払わなくてはなりません。
     
     では、相続登記の申請には期限はあるのでしょうか?
    現在、相続登記は任意で、登記するかどうかは相続人の判断に委ねられています。しかしながら、名義が死亡者のまま長年放置されれば、法定相続人が分からなくなる可能性があり、土地の購入や賃借をしたい人がいても取引が進まないという問題も起きてきています。
     
    法務省は、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、民法と不動産登記法を見直すと発表しました。相続登記の義務化や所有権の放棄を認める制度の創設、遺産分割協議ができる期間の制限などが柱となるそうです。

     民間有識者の研究会による2016年の推計によりますと、不動産登記簿などで所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする所有者不明の土地は、全国で約410万ヘクタール。これは九州全体の面積を上回っていて、さらに2040年には約720万ヘクタールにまで広がる見込みのようです。
     
     こうした土地は所有者が亡くなった後に相続人が決まらず放置されたり、相続人が登記簿上の名義を書き換えなかったりして発生することが多いのですが、権利関係を外部からわかりやすくするため、法務省は相続時の登記の義務化を検討中。さらに、登記していなければ罰金などを科すことも視野に入れるとのこと。


     
     また、相続人同士が遺産分割協議を行う期間にも制限を設ける方針のようです。話し合いでの合意や家庭裁判所への調停申し立てがされずに被相続人が亡くなって一定期間が過ぎれば、法律に従って自動的に権利が決まるようになる可能性も。

     さらに、現在は放棄を認めていない土地の所有権を放棄できるようにする制度も考えられているそうです。例えば「実家近くにある山を相続したが、遠方で手入れが難しく手放したい」などのケースでも、放棄を認める条件や、第三者機関や自治体など受け皿となる機関について議論するとのことです。

     個人的には、所有権の放棄が認められた上で、登録免許税の免税等の優遇措置が導入されないと抜本的な解決は難しいように感じますが、法務省の今後の動向には注目していきたいです。
     


    ページ作成日 2019-02-18