原野商法という言葉をご存知でしょうか?
原野商法とはほとんど価値のない土地を高額で売りつける詐欺商法のことで、1960年頃から盛んに行われるようになったものです。悪質不動産会社が、「今は非常に廉価だが将来値上がりが確実」といった虚偽の説明を、時には著名人の推薦文が入ったパンフレットなどを使って行い信用させ、その土地を購入させるという手口でした。
購入代金はだいたい1坪あたり3000円程度で総額100~200万円が相場であり、当該の土地も北海道などの遠方であるため、被害者は現地を見ずその場で購入を決めてしまうことが多かったのです。
70年代には社会問題化し、80年代になると取り締まりが厳しくなって、原野商法はほとんど消滅したとされていました。
ところが、国民生活センターによると、今もその土地を所有しており、税金の支払いや土地の管理に困り、できれば売却したいという原野商法の被害者を狙って、二次被害が増加しているようです。
2013年度には初めて相談件数が1,000件を超え、2017 年度は 1,694 件と前年同期と比べ約 1.6倍となるなど、急増傾向がみられます。
以前の原野商法の二次被害では、「土地 を高く買い取るために調査や整地、測量が必要」 と勧誘して契約をさせる「売却勧誘―サービス 提供型」の手口が目立っていました。
しかし、 最近ではこれに代わり「売却勧誘―下取り型」 という巧妙で複雑な手口が非常に目立っています。
この手口では、「あなたの持っている土地を 高値で買い取る」などといった電話勧誘がまず 行われます(売却勧誘)。そしてその後、業者は 契約内容の詳細を説明せずに「手続き費用」「税金対策」などといった名目でお金を請求してきます。
しかし、この説明は適切ではなく、実際 は原野等の売却と同時により高い金額の新たな 原野等の土地購入をセットで契約させています (下取り)。結果として消費者は契約内容を正しく認識できないまま、売却する土地と購入する土地の差額分を支払う契約を結ばされてしまう、というものです。
1970年代から1980年代にかけて現役世代のときに山林や原野などを購入した 消費者は現在高齢になっています。「子どもたちに負の財産を残さないために原野等を手放したい」などといった気持ちに付け込んで、業者は勧誘を行っているものと考えられます。
原野商法の二次被害では勧誘や契約書面 に問題があるケースが目立ちます。加えて、契約後は業者と連絡がつかなくなることがほとんどであり、一度お金を支払ってしまうと、そのお金を取り戻すことは困難です。
このように、以前購入した原野等の買い取り話を不用意に聞いてしまうと、さらなるトラブルにあってしまうおそれがあります。そのため、「土地を買い取る」といった勧誘には、耳を貸さずきっぱりと断りましょう。
また、将来の相続を考えて、ご家族には、騙されて買った土地だから、何の価値も無いと伝えておきましょう。
誰しも、目の前にお金がぶら下がった場合、判断能力が落ちます。
詐欺師のトークも、そういう心理を巧みに突いてきます。
くれぐれも親子二代で騙されないように、しっかりと伝えておきましょう。
ページ作成日 2019-03-04