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相続争いは財産が多い場合に限って起こる問題だと思っていませんか?
2015年に遺産分割で裁判となった割合は、1,000万円以下が32%、1,000~5,000万円以下が44%です。残り24%が5,000万円以上の遺産分割で揉めている割合となります。
必ずしも相続財産の多寡が相続争いと直接関係ないことがお分かり頂けるのではないでしょうか。
少額の相続で揉めるケースについて、大きな要因は欲と金銭感覚が原因として考えられます。
遺産分割の額が1億円や2億円となれば私生活から離れた非現実的な金額なので、相続人間で1,000万円程度の差異が生じていたとして、誤差の範囲に感じられて争いの原因となりにくいことはご理解頂けるでしょう。
これが1,000万円や2,000万円といったリアルな金額になってくると人間の欲が出てしまいます。例えば3,000万円の財産を3人で分割するのであれば、少しでも多くの取り分を要求したくなり、1,000万円よりは1,500万円・・・と欲が出てしまうのです。
その結果、平等に分けるという感覚ではなく「誰が一番多くもらうべきか」を考えてしまい、もらう権利がない相続人はいないかという話にまで発展してしまいます。
一方、多額の相続で揉めるケースは、相続財産のうち分けにくい財産が大部分を占める場合が原因として考えられます。
例えば、預貯金や売却できる有価証券などが多い場合はどんなに高額なものであっても分割には苦労しません。単純に数値化、現金化でき、分けることができるからです。
ところが分けにくく、かつ高額の財産はそうは簡単にはいきません。
相続人のうちの一人のモノとすると不公平ですし 共有にするとその使い方や処分する際に意見が対立すると進まなくなります。
例をあげると自宅を始めとする不動産と自営業の方の自社株です。
まず不動産はそのままでは分割することができません。
もっとも簡単な分け方は売却してその代金を分けることですが、ご自宅の場合など、被相続人の奥様もしくは子ども家族が住んでいたりする不動産はもちろん、収益物件の場合でも先祖代々受け継いできた不動産であったりすると簡単にはいきません。
また、不動産を共有にするということは、その共有者全員がその不動産を使用できることになりますのでトラブルの原因となります。ここからここまでは私のモノ、ということではなく全員がすべてを共有するからです。
自社株の場合は話がまとまれば分けることは可能です。
しかし、株式を取得した相続人は株主権が発生し、持ち株割合によっては、半数未満であっても、帳簿閲覧請求や株主会議請求などいろいろな権利が生まれるので、会社経営に関わらない人は極力自社株を持たせないことが重要となってきます。
なかでも最悪なパターンは同じ割合で株を持っていて対立している場合です。基本的に多数決で決める場合、両者が対立すると会社の方向性を決定できないばかりか他の株主を巻き込んでの社内分裂、経営悪化の恐れもあります。
弊社ではこのような分割しにくい財産である不動産や自社株が大部分を占める相続に関して、家族信託のご提案をしております。詳しくは一度弊社の定期開催セミナーにお越し下さい。
ページ作成日 2019-04-29