自宅に住みながら、自宅を現金化-リバース・モーゲージとは-


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  • 自宅に住みながら、自宅を現金化-リバース・モーゲージとは- 2017-06-12



    こんにちは、資産活用サポート担当の渡邉です。 

    皆様は、リバース・モーゲージというものを御存じでしょうか? 
    ユーロッパではポピュラーな制度で、近年日本においてもリバース・モーゲージ商品が増えてきました。 

    モーゲージというとどうしても2007年のサブムライムショックが頭をよぎってしまい、悪いイメージを持ってしまう方がいらっしゃることかと思います。 
    しかし、「リバース・モーゲージ」「サブプライム・モーゲージ」とは全くの別物。 
    今回は、リバース・モーゲージについて、わかりやすく解説したいと思います。 


    1、そもそもモーゲージって何? 

    モーゲージ【mortgage】 
    モーゲージとは、簡単にいえば、住宅など不動産を担保とする貸付債権に有価証券性を付与したもの。 
    モーゲージは、不動産の所有権を、抵当権設定者(債務者)が抵当権者(債権者)に、債務返済により無効となる条件付きで移転する契約です。 


    簡単にと言っておいて非常に難しい言い回しとなってしまいました。 
    一般的なローンは、借入を収入からコツコツ返済するのに比べて、モーゲージは、将来担保としている不動産を売却する事を条件に、毎月お金を借りるというイメージです。 
    毎月返済して家を手に入れる一般的な住宅ローンの、その逆(リバース)と言えます。 

    その性格から昨今注目されているのが、「リバース・モーゲージ」です。 


    2、リバース・モーゲージ 

    リバース・モーゲージとは、高齢者が自宅を担保に生活資金やリフォーム資金を借り入れて、死亡時に自宅を処分して返済するローンの事です。 
    リバース・モーゲージを利用する事により、自宅に住みながらにして、自宅を現金化するという事が可能になるのです。 

    うまく使えば便利な商品ではありますが、現在日本では普及していないのが現状です。 
    現在、厚生労働省や住宅金融支援機構の他に、大手都市銀行や一部地域金融機関もリバース・モーゲージ商品を取り扱っています。 

    商品には幅広い種類があり、使用使途がバリアフリー化に限るものや使途を限らないもの、対象が土地付きの戸建に限るものやマンションまで対象に含めるものと様々。 
    それぞれにメリットデメリットがあるので、目的をしっかりと考えて、最適な商品を選ぶ必要があります。 


    3、メリットとリスク 

    リバース・モーゲージの大きなメリットは、上記の通り自宅に住みながらにして自宅の現金化が出来るという点と、一般的なローンに比べて収入要件が緩いという点も挙げられるでしょう。 

    しかしメリットがあれば当然リスクもあります。 
    列挙させていただくと、 

    ①不動産の担保価値が低下した時に、担保割れする可能性があり、場合によっては一括返済を求められる事も 
    ②リバースモーゲージの融資の適用金利は基本的に変動金利の場合が多く、将来金利が上昇すると返済額が膨らむ 
    ③長生きすればするほど、借入金額が大きくなり、将来の返済額が大きくなる 
    ④借入がある事により、本当に必要な時に融資が受けられなくなる可能性がある 


    長生きがリスクになるというのも、あまり気持ちのいい話ではありませんね。 
    他にも、商品によっては、ご夫婦二人暮らしで、契約者の夫が亡くなられた際に妻の継続居住を認めずに、一定期間で引き払う事を要求するものもありますので、契約内容の確認は厳重に行わなければいけません。 


    4、高齢化社会を迎えるにあたって 

    リスクをあれこれと列挙しましたが、生活資金の借入から返済までを全て自己完結できるという点で、リバース・モーゲージは非常に重要な存在になっていくのではないかと思います。 
    (リバース・モーゲージの利用にあたって相続人の設定は必要になりますが、あくまで借入の返済は自宅の売却資金で賄われるので負担はかけません。) 
    リスクをしっかりと認識し、上手に付き合っていく事が必要になっていくのではないでしょうか。 
     


    ページ作成日 2017-06-12