こんにちは、資産活用サポート担当の渡邉です。
当コラムでも何度か取り上げてきた「空き家問題」。
深刻化していく空き家問題の解決に向けて、様々な施策が実施されています。
本日はその中から気になる制度、「マイホーム借上げ制度」をご紹介します。
1、マイホーム借上げとは
一般社団法人 移住・住みかえ支援機構(JTI)が運営する制度。
50歳以上のシニアを対象にマイホームを借上げ、賃貸住宅として転貸するシステムです。
大まかには、サブリースと同じような仕組みと考えていただければ良いかと思います。
シニアライフには広すぎたり、住みかえにより使われなくなった家を、JTIが借上げ、転貸します。
オーナー様には、転貸した場合の賃料から15%の手数料が引かれた金額が支払われます。
これは、借主がついていない間も継続的に支払いが保証されます。
契約内容は少し独特で、借主は3年間の定期借家として契約をします。
貸主は、この3年毎のタイミングで解除が可能なので、もしマイホームに戻りたい、売却したいなどのニーズが発生した時も、立ち退き交渉の必要はありません。
また、自己使用に戻したい時期がわかっている場合は、その期間のみ借上げる契約形態もあります。
入居者にとっては、いつ契約解除されるかわからない点はデメリットと思われるかもしれませんが、メリットもあります。
この制度を利用して借りた物件は、畳、建具、壁紙、流し台など、住宅の躯体・構造に影響を与えない部分に限り、リフォームすることができます。
(但し、物件所有者への建物改修等の申請が必要となります)
また、全ての物件で敷金と礼金がどちらもかからず、賃料も相場より若干安く借りることができます。
2、50歳未満だと使えない?
貸主が50歳未満でも使用できる特例もいくつかあります。
そのうちの一つが、「相続空き家特例」。
家を相続したものの、当面使用する予定のない空き家オーナー様であれば、50歳未満でも当制度が利用できます。
相続時に、既に持ち家を購入していたり、勤務先が実家から離れていたりと、実家の引き取り手がいないケースが増えています。
そのような場合、売却して現金化したり、マンションなど収益物件に組み替える事が解決策となるのですが、実際にそのような場面に直面した時に、すぐに割り切れないという方も多いはず。
そんな時にこの制度を使えば、維持費を賄った上に、安定的な収入を得る事が可能です。
3、どんな物件でも借上げてもらえる?
JTIが指定する業者の建物診断を制度利用者(オーナー)の負担で受けることが条件となっています。
また、1981年6月の新耐震基準以前に建築確認が申請された住宅については、原則として耐震診断の受診が必要です。
また、建築基準法や建築基準関係規定に違反していないことも条件となっているため、既存不適格物件などは対象外となります。
事業用物件は借上げ対象外です。
例えば、1階部分が店舗や事務所になっている場合は、その部分を除いた部分のみの借り上げとなります。
また、オーナールーム併用賃貸住宅の場合、オーナールーム以外の賃貸部分に関しては原則借り上げ対象外となります。
共有名義での建物でも、マイホーム借上げ制度は利用できます。
ただし、登記簿に記載された共有者全員が制度利用を承諾し、契約の際当事者となることが条件となります。
他にも、抵当権や強制執行、税金の滞納の有無等の条件があります。
一般的なサブリースに比べ、ロケーション等の条件が無い分、建物診断や、必要があれば耐震補強などの初期投資はかかってきます。
4、利用時の注意点
マイホーム借り上げ制度は、一般的なサブリースとは異なり、最初の入居者が決まってから賃料保証がスタートします。
例えば1年間借り手が見つからなければ、その1年間は丸々無収入となります。
また、借り上げ賃料に関しては一般的なサブリースと同様、借上げ期間中の値下げの可能性もあります。
入居者の募集に関しては、協賛事業者という民間の不動産業者等が行います。
協賛企業募集のページを見てみると、「協賛企業急募案件」という見出しで、借り上げ依頼が来ているものの担当する業者がついていないという物件がいくつかあります。
そうなると、担当がつくまでは当然無収入の期間になりますので、依頼したい物件のあるエリアで、既に協賛企業がいるかどうか確認してからのほうが良いでしょう。
以上がマイホーム借上げ制度の概要になります。
実家を相続したけど使わない、でも売るのはちょっと・・・
そんな時には、この制度を一度検討してみてはいかがでしょうか。
ページ作成日 2017-06-05