相続資産を減らそう ~相続資産圧縮対策の基本 その3~


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  • 相続資産を減らそう ~相続資産圧縮対策の基本 その3~ 2017-05-15

    こんにちは、資産活用サポート担当の渡邉です。 

    これまでに相続資産の圧縮対策方法として、課税対象額を減らす方法と、非課税枠・控除額を増やす方法を解説してきました。 

    最終回となる今回は、相続資産そのものを減らす方法を解説していきたいと思います。 

    相続発生までに相続資産を減らすには、2つの方法が考えられます。 



    1、相続前に現金を使う(借金をする) 

    相続までに現金を使えば、当然ですが相続財産は減ります。 
    このため、自宅のリフォームが必要なのであれば、相続税対策から考えると相続までにしておくべきです。 

    リフォームをすると建物の価値は上がるので、それに伴って固定資産税も増えてしまう可能性があります。 
    しかし、リフォーム分を課税されることは少ないようです。 
    それは、市町村が固定資産評価額を把握して課税することになっているからです。 
    10㎡以下の増改築は建築確認申請が不要で、さらに改築のみの場合は確認申請をすることは余りありません。 
    このため、市町村はリフォームを把握できないことが多いのです。 

    アパートリフォームの場合は、リフォーム分を経費として計上し、不動産所得を減らして所得税も減らす必要があります。 
    このため、リフォーム代金を税務上で申告することになります。 
    60万円未満の通常の維持管理費用であれば、一括してリフォームした年度の経費として計上できます。 
    しかし、「耐用年数を延ばす」、「性能をアップする」ことにつながるような支出は資本的支出となり、一度に全額を経費化することができず、複数年にわたって減価償却費として経費化することになります。 

    資本的支出と思われる場合でも、前期末取得価額の10%までの支出金額は、修繕費としてリフォームした年度に経費計上することができます。 
    前期末取得価額とは、その固定資産の前期末帳簿価額のことではありません。 
    その資産の最初に購入したときの金額に、前期末までに加えられた資本的支出の金額を加算したものが税務上の前期末取得価額とされています。 



    2、贈与をする 

    生前贈与も相続財産を減らす効果があります。 
    暦年贈与であれば、もらう人につき毎年110万円以下までであれば無税で贈与することができます。 
    たとえば、毎年3人の子供に110万円ずつ合計330万円を渡すのであれば、無税です。 
    贈与する対象者には制限はないので、子供の配偶者など相続人以外にも贈与の対象者を広げれば、贈与税の非課税枠を増やすことができます。 

    贈与税は相続税に比べて税額が高いのですが、一回あたりに贈与する金額を抑えれば、110万円を超える金額を贈与しても、贈与税と相続税の合計の金額を少なくすることができます。 

    また、相続の3年以内の贈与は相続資産に含まれますが、相続財産を受け取らない人(相続人ではない人)であれば関係がありません。 
    贈与は誰に対して行っても良いので、子供の配偶者や孫など、相続対象者以外の人に贈与すればよいでしょう。 
    また、扶養義務のある親族間では、生活費や学費、医療費などは贈与にはあたらないことになっています。 
    このため、子供に食費や光熱費を渡す場合や、孫の学費や塾代を負担する場合には贈与税はかかりません。 
    社会通念上妥当な金額の範囲である必要はありますが、生活費や学費の名目で贈与すれば贈与税はかからないのです。 

    アパートを贈与することで相続税を少なくすることもできます。 
    アパートを贈与することで、アパート収入を相続人に移すことができるので、その分だけ相続時点での被相続人の財産は少なくすることができるのです。 
    このとき、相続時精算課税制度を活用すると贈与税を支払うことなく、贈与することができます。 
    相続時精算課税制度とは、累計で2,500万円までであれば贈与時点では非課税で親が子や孫に贈与できる制度です。 
    非贈与者につき2,500万円まで非課税なので、両親からそれぞれもらう場合は5,000万円まで非課税となります。 

    相続税がかからない範囲の財産の場合は、相続時精算課税制度を使えば、2,500万円までであれば相続税も贈与税もかかりません。 
    ただし、相続時精算課税制度を使う場合は暦年贈与の非課税枠が使えなくなるので、注意が必要です。 
    アパートを贈与することによる所得の移転効果が大きいか、暦年贈与による節税効果が大きいかをシミュレーションして、相続時精算課税制度を使うべきか決めましょう。 


    以上、相続財産圧縮対策の基本でした。 
    一口に相続対策と言っても、やれること、やるべきことは人によって千差万別です。 

    まずはご自身の財産をたな卸しし、どの対策が有効かをご検討されることをお勧めします。

     


    ページ作成日 2017-05-15