平成30年税制改正を読み解く② 「広大地評価」から「地積規模の大きな宅地」へ・・・グレーゾーンの撤廃


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  • 平成30年税制改正を読み解く② 「広大地評価」から「地積規模の大きな宅地」へ・・・グレーゾーンの撤廃 2018-01-15

    皆さんこんにちわ。
    京成不動産 資産活用サポート担当の渡邉です。

    平成30年 税制改正を読み解くシリーズの第2回です。
    今回は、「広大地評価」の撤廃と、新たに設けられた「地積規模の大きな宅地」についてご紹介します。

    1、広大地評価とは

    周辺の宅地と比べて著しく広大であることを含めて、一定の要件を満たすと、「広大地」として評価されます。
    その要件は以下の3点。

    ①1,000㎡以上(三大都市圏は500㎡以上)
    ②マンション敵地ではなく、開発されていな
    ③開発行為を行う際に、つぶれ地(住人用の通路など)を造成する必要があること


    要するに、個人が買うには広すぎるけど、マンションを建てるには狭く、小分けにして宅地として売ると中に道通さなきゃいけない土地というイメージです。

    この要件を満たすと判断され、広大地であると認められると、その土地の評価額は50%減額される、という制度でした。

    上記の要件の中で、①は単純明快ですが、②と③は一律の明確な基準が無く、また減額の幅も大きいことから、適用の可否をめぐって裁判沙汰になることもありました。


    2、地積規模の大きな宅地への変更で何が変わる?

    「地積規模の大きな宅地」に認定される要件は、下記の3点。

    ①1,000以上(三大都市圏は500㎡以上)
    ②地区区分が普通住宅、普通商業、併用住宅地区
    ③容積率が400%未満(東京23区では300%)


    曖昧な判断になりがちだった「つぶれ地」についての要件が無くなり、地区区分と容積率という明確な基準が新たに設けられました。
    これまでは、ある程度広大地評価に精通する税理士等の専門家でなければ判断が困難でしたが、本改正により自身での適用の可否の判断が可能になりました。

    しかし、変わったのは用件ではなく、評価額の算定方法も変わります。従来は土地の形状は考慮されずに50%前後の軽減だったものから、

    路線価×各種補正率×規模格差補正率×地積

    という計算式に変更になります。
    土地の形状と、土地の大きさが計算に影響するようになりました。


    3、相続税への影響

    広大地評価は、適用ができれば大きく相続税評価を下げることができる制度でした。
    結論から言えば、今回の改正で、多く場合評価額の減額効果は小さくなります。
    そのため、昨年の下旬に発表があって以降は、現行の制度を適用させるべく、相続時精算課税制度を用いた贈与が相次ぎました。
    相続時精算課税制度には、贈与時の評価で相続税評価額を確定させるといった機能があります。
    将来の値上がりが予想される資産のみならず、税制改正による評価増が予想される場合にも利用できます。

    広大地評価を考慮して相続税の試算をされていた方は、改めて試算をしてみる必要があるでしょう。


    ページ作成日 2018-01-15